日本の建築技術 8
床脇の踏込畳の上部は、二重になった変形の棚だけで正規の違棚はありません。
そして、付書院は、この棚の隣に展開しています。
しかし、二重になった棚板と踏み込み畳のために、この付書院は、床の間から半間離れ、奥に半間食い込んでいるのです。
付書院正面は、欄間が花挟間でその下に火灯窓が入り、窓の四枚の障子は縦桟と横桟が三本二本一本の吹寄せになっており、地袋の襖に小さな長方形隅丸の引手がついています。
また、この付書院の地板の高さは、50㎝ほどで書や文房具を使う通常の位置よりも高いです。
これは、実用性がまったくなくなり、装飾する方向に付書院が変化したことを物語っています。
こうした装飾性は、本来は板であるはずの付書院の両側面にも及び、上.から花挟間と木瓜型の刹りぬきになっています。
一の間の天井は、細い赤漆塗りの格天井で格間に網代が張られています。
格子は、前の例にもあったように小さくされ、この時代の特徴を示すようになっています。
長流亭の一の間には、床の間と付書院がありました。
しかし、床の間と付書院のありかたや細部は、書院造とはいえないでしょう。
また、床の間と付書院以外の要素は、すでに見てきた別荘または休息所で使われていた手法に似たものや変化をつけ加えたものでした。
したがって、床の間と付書院を含めて、長流亭は、数寄屋風座敷という分類に入ってくるでしょう。
書院造の二間つづきの座敷と数寄屋風の二間つづきの座敷は、平面図では差異が認めにくいものです。
極端にいえば、数寄屋風の二間つづきの座敷に座って書院の原型といわれる「二条城二の丸御殿の大広間や西本願寺対面所」を思い浮かべ対比して、はじめて私達は、数寄屋風を感じとることができるのでしょう。